マルチタスクが苦手なとき|仕事の受け方と頼み方の工夫(横浜市都筑区)

こんにちは、ステップキャリアです。
横浜市の都筑区で就労移行の事業所を運営しています。
今回の記事では「マルチタスクが苦手なとき」について解説しますね。



仕事を2つ3つ同時に頼まれると、頭の中が真っ白になる。作業の途中で声をかけられると、もとの作業に戻れなくなる。要領が悪いと自分を責めて、働くこと自体がこわくなってきた——という方に向けた記事です。
いくつもの仕事を同時に進める「マルチタスク」は、事務や接客の職場で、当たり前のように求められがちです。
先に、いちばん大事なことをお伝えします。厚生労働省の事例集には、「作業指示を一つずつ出す」という配慮について、会社の規模や業種、仕事の種類を問わず多くの事例があった、と書かれています。
同時にできるようになることを目指す道だけではなく、仕事の受け方を1つずつに変える道があります。
今回のコラムでは、同時進行がつらい理由の分け方、自分でできる受け方の工夫、職場に頼める形、合いやすい環境の見方をまとめました。
同時進行がつらい理由は、3つに分けられます
「マルチタスクが苦手」とひとまとめに言われがちですが、つらさの中身は人によってちがいます。分けると、工夫のしどころが見えてきます。
1つめは、切り替えです。1つの作業から別の作業へ頭を切り替えるのに、時間と力がかかる形です。入力の途中で電話に出ると、どこまで進めていたか分からなくなる場面です。
2つめは、覚えておくことです。言われたことを頭の中に置いたまま、別のことを進めるのがむずかしい形です。話を聞きながらメモを取ると、どちらかが抜けてしまうことがあります。
3つめは、順番を決めることです。頼まれごとが3つ重なると、全部が同じくらい大事に見えて、どれから手をつけるか決められない形です。
どれが強いかは人によってちがい、重なる方もいます。分けきれなくても、つまずく場所が少し見えるだけで、頼み方を考えやすくなります。
同時進行のつらさは、うっかりのミスとつながっていることもあります。うっかりを減らす工夫は、別のコラムでまとめています。
関連記事: ADHDと仕事のミス|うっかりを減らす工夫と配慮の頼み方(横浜市都筑区)
仕事の受け方は、自分の側で「1つずつ」にできます
いちばん先に変えられるのは、仕事を受けるときの動き方です。受け方を変えるだけで、軽くなる場面があります。
1つめは、受けるときの一言です。「いま○○をしていて、30分ほどで終わります。終わってからでよいですか」と、いまの手もとを伝えてから受ける形です。
2つめは、紙に書き出すことです。頼まれたことを頭の中に置かず、1枚の紙かメモに書いて、頭の外に出しておきます。
3つめは、順番を聞くことです。書き出したものを見せながら「どれから先にやればよいですか」と、頼んだ人に順番を決めてもらいます。
4つめは、1つ終えてから次に移ることです。「○○が終わりました」と短く伝えて、次の1つにとりかかります。
途中で割り込みが入るときは、口頭ではなく付せんやチャットに残してもらう形があります。あとで順番に見られるので、頭の中に置かなくてすみます。
あいまいな指示をはっきりさせる聞き返し方は、別のコラムでまとめています。
関連記事: ASDと職場のやりとり|あいまいな指示に困るときの工夫(横浜市都筑区)
職場に頼める形は、国の事例集に載っています
厚生労働省が全国の会社の取り組みを集めた「合理的配慮指針事例集【第六版】」には、指示の出し方についての配慮の例が、いくつも載っています。
発達障害のある方の採用後の例では、「本人の作業指示はできるだけ細分化し、一つの作業が終わる都度、次の作業を指示している」という会社の形が載っています。
「急な作業変更は極力行わない。行う場合には、本人の作業が一区切りつくまで待つ」という会社の例も、同じ発達障害のある方の採用後の例として載っています。
精神障害のある方の採用後の例では、「業務の優先順位に迷っている場合には、上司に確認するようにしている」という会社や、1日ごと・1週間ごとの作業をホワイトボードに書き出している会社の例があります。
令和7年9月の「障害者への合理的配慮好事例集」には、市役所の例として「指示の明文化やマルチタスクを避けるなどの配慮をする」と書かれたものもあります。
事例集には、載っている形は例示で、どの会社も同じ形にする決まりではない、という説明もあります。決めるのは会社との話し合いですので、頼むときの材料にできます。
困る場面と、頼める形を表にすると、こう見えます。
| 困る場面 | 頼める形 | 事例集に載っている例 |
|---|---|---|
| 一度に複数を頼まれる | 1つ終わってから次の指示をもらう | 一つの作業が終わる都度、次の作業を指示 |
| どれから先か決められない | 順番を決めてもらう | 優先順位に迷ったら上司に確認する |
| 途中で割り込みが入る | 区切りまで待ってもらう | 急な変更は一区切りつくまで待つ |
| 1日の予定が見えない | 目に見える形で示してもらう | ホワイトボードで1日ごとの作業を示す |
| 量の見当がつかない | 1日の作業量を決めてもらう | 担当者が1日の作業量を明確にする |
頼むときは、「困ること→自分でしている工夫→お願いしたい配慮」の順で伝えると、仕事を進めるための相談として受け取られやすくなります。
たとえば、「一度に複数を受けると抜けが出やすいので、紙に書き出して順番を確認しています。1つ終えるごとに次の指示をいただけると助かります」という形です。
合理的配慮の仕組みと、会社との決め方は、別のコラムでまとめています。
関連記事: 職場の合理的配慮とは|頼み方の例と会社との決め方(横浜市都筑区)
電話対応のように、ひとつの場面にしぼった頼み方は、別のコラムにまとめています。
関連記事: 電話対応が苦手なとき|配慮の頼み方と練習の進め方(横浜市都筑区)
合いやすい環境は、職種の名前より中身で見ます
「マルチタスクが苦手な人に向いている仕事」として職種の名前があげられがちですが、同じ職種でも、職場によって中身は大きくちがいます。
見るところは、割り込みの少なさ、指示を出す人が決まっているか、1日の流れが毎日ほぼ同じか、締切が1つずつ来るか、予定が目に見える場所にあるか、の5つです。
事務の仕事も、電話や来客の対応が多い席と、入力や書類の整理が中心の席では、同時進行の量がまるでちがいます。仕事の中身は、別のコラムでまとめています。
関連記事: 障害者雇用の事務職とは|仕事の中身と目指し方(横浜市都筑区)
どの環境なら1つずつ進められるかは、実際に働く場面を見てはじめて分かることも多くあります。求人票の言葉だけで決めきれなくて大丈夫です。
就労移行支援では、通いながら「1つずつ受ける」動き方を試し、自分に合う環境を言葉にしてから、応募先を一緒に考えられます。
苦手な場面と、自分でしている工夫、お願いしたい配慮を1枚にまとめたものが「ナビゲーションブック」です。作り方は、別のコラムでまとめています。
関連記事: ナビゲーションブックとは|自分の取扱説明書の作り方(横浜市都筑区)
よくある質問
どんな席なら進めやすいかは、見学のときに一緒に考えられます。
困ることだけでなく、自分でしている工夫もあわせて伝えると、仕事を進めるための相談として受け取られやすくなります。言い方は、模擬面接などで一緒に練習できます。
職場にどこまで伝えるかは、見学のときに一緒に考えられます。
国の事例集には、急な変更をするときは作業が一区切りつくまで待つ、という会社の例も載っています。
つまずきやすい場所はひとりひとりちがいますので、個別支援計画を作るときに一緒に整理します。
いつでもご相談お待ちしています
同時に進めるのが苦手でも、指示を1つずつにする形で働ける職場の例は、国の事例集にいくつも載っています。
自分のつらさは、切り替えなのか、覚えておくことなのか、順番なのか?
職場には、どんな言葉で頼めばよいのか?
など、気になることは見学のときに一緒に確かめられます。ブルーライン・グリーンライン「センター南駅」すぐですので、気軽にお越しください。
※今回の内容は、2026年9月時点の制度にもとづいています。
参考: 厚生労働省「障害者への合理的配慮好事例集(令和7年9月)」

福祉の現場で7年、働くことを目指す方の支援に携わってきました。ステップキャリアではサービス管理責任者として、お一人ずつの体調やペースをうかがいながら個別支援計画をつくり、次の一歩を一緒に決めていくことがやりがいです。神奈川県・横須賀出身です。
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