ASDと職場のやりとり|あいまいな指示に困るときの工夫(横浜市都筑区)

こんにちは、ステップキャリアです。
横浜市の都筑区で就労移行の事業所を運営しています。
今回の記事では「ASDと職場のやりとり」について解説しますね。



「適当にやっておいて」「なるはやでお願い」。言われた瞬間に手が止まり、聞き返すのも気が引ける——という方に向けた記事です。
自閉スペクトラム症(ASD)のある方の中には、言葉を文字どおりに受け取りやすかったり、書かれていない決まり(暗黙のルール)が分かりにくかったりする方がいるといわれています(厚生労働省の合理的配慮指針事例集)。
先に、いちばん大事なことをお伝えします。あいまいな指示をはっきりさせるのは、本人だけの努力ではなく、会社の側でも整える決まりがあります。
国の合理的配慮指針に、「業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出す」対応が、発達障害への配慮の例として書かれています。
今回のコラムでは、困りやすい3つの場面と、数字で確かめる聞き方の型、ナビゲーションブックで先に伝えておく方法をまとめました。
困りやすい場面は、3つに分けられます
職場のやりとりで困る、と一口に言っても、中身は分けられます。
1つめは、あいまいな指示。「適当に」「なるはやで」「いい感じに」のように、どこまで・いつまでが言葉に入っていない指示です。
2つめは、雑談。何を話せばいいのか、いつ切り上げていいのかが決まっていないので、仕事より疲れるという方もいます。
3つめは、暗黙のルール。「休憩は先輩が戻ってから」のような、どこにも書かれていない決まりです。
聞いていいのかどうかも分からず、迷いやすいところです。
特性は一人ひとりちがいますので、3つ全部にあてはまらなくて大丈夫です。あてはまる場面だけ、拾っていただければ十分です。
関連記事: 発達障害と働き方|自分に合う仕事の見つけ方(横浜市都筑区)
あいまいな言葉は、数字で確かめられます
あいまいな指示には、聞き返す型があります。確かめるのは、期限・量・順番の3つのどれかです。
期限は「いつまでか」。「なるはやで」と言われたら、「今日の15時まででよろしいでしょうか」のように、時刻を入れて聞き返します。
量は「どれくらいか」。「ざっくりまとめて」と言われたら、「A4で1枚くらいでよろしいでしょうか」のように、数を入れて聞き返します。
順番は「どれが先か」。「手があいたら」と言われたら、「いまの入力が終わってからでよろしいでしょうか」のように、いまの作業とくらべて聞き返します。
| 言われた言葉 | 確かめる中身 | 聞き返しの例 |
|---|---|---|
| なるはやで | 期限 | 今日の15時まででよろしいでしょうか |
| ざっくり・適当に | 量 | A4で1枚くらいでよろしいでしょうか |
| 手があいたら | 順番 | いまの入力が終わってからでよろしいでしょうか |
| いい感じに | 見本 | 前に作った一覧表と同じ形でよろしいでしょうか |
コツは、「はい」か「いいえ」で答えられる形にすること。相手は一言で返せるので、聞き返す側の気おくれも小さくなります。
数字で確かめる聞き方は、会社の側でも使われています。厚生労働省の合理的配慮指針事例集(第六版)には、「きれいになったら次のものを洗う」ではなく「10回洗ったら次のものを洗う」と数で区切って指示している会社の例や、指示の内容をノートに書く時間を設けている会社の例が載っています。
聞き返す一言や、メモを取る時間は、国の事例集に配慮の例として載っている中身です。
聞いた答えは、短くメモにしておくと、あとで「言った・言わない」に迷わずにすみます。
雑談と暗黙のルールは、型と「聞ける人」で軽くなります
雑談は、上手に話せなくてかまいません。聞き役の型をひとつ持っておけば、十分に成り立ちます。
相づちを3つ決めておく。「そうなんですね」「大変でしたね」「いいですね」の3つを順番に使うだけで、会話は続きます。
席を外す言い方を1つ持っておく。「少し作業に戻りますね」の一言で、雑談を切り上げてかまいません。
昼休みを一人で過ごすのも、選べる形のひとつです。休憩は休むための時間ですので、雑談に加わらない日があっても大丈夫です。
暗黙のルールは、読むものではなく、聞くものと考えると楽になります。聞く相手を決めておくのが、いちばんの近道です。
国の合理的配慮指針には、発達障害への配慮の例として「業務指導や相談に関し、担当者を定めること」が最初にあげられています。「分からないことは、まず◯◯さんに聞く」という形を、会社と決めておける場合があります。
聞いた決まりは、文字にしてもらうまでがセットです。事例集には、当日の予定をホワイトボードに書き出す会社や、仕事の内容を書いた紙を毎日渡す会社の例が載っています。
先に伝えておく、という方法があります
聞き返す型があっても、入ったばかりの職場で毎回聞くのは、体力がいります。先に伝えておく方法があります。
ナビゲーションブックは、自分の特性と、職場でつまずきやすいこと、あると助かる配慮などを1冊にまとめた資料です。JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)が、作り方の資料を出しています。
書き方は「困る場面・自分の対処・お願い」の3点セットです。たとえば、2つの場面を表にすると、下の形になります。
| 困る場面 | 自分でしている対処 | お願いしたい配慮 |
|---|---|---|
| 「適当に」「なるはやで」のような口頭の指示だと、手が止まる | 期限と量を、数字で聞き返す | 期限と量を、数字か見本つきでもらえると確実に進められます |
| 書かれていない決まりに、気づきにくい | 気づいた決まりを、メモに書きためる | 分からないときに聞く相手を、1人決めてもらえると助かります |
お願いは、1〜3つにしぼるほど届きやすくなります。全部を書かなくてかまいません。
面接で「配慮してほしいことは」と聞かれたときも、同じ3点セットで答えられます。ふり返りから清書まで、就労移行支援ではスタッフと一緒に作れます。
関連記事: ナビゲーションブックとは|自分の取扱説明書の作り方(横浜市都筑区)
関連記事: 障害者雇用の面接で聞かれること|答え方の例つき(横浜市都筑区)
就労移行支援で、聞き返しの練習ができます
聞き方の型は、頭で分かっていても、いざ言われた場面では出てきにくいものです。就労移行支援では、スタッフが上司役になって、あいまいな指示を出す練習ができます。
「なるはやで」と言われて、「15時まででよろしいでしょうか」と返す。声に出す回数を重ねるほど、本番で出やすくなります。
関連記事: 就労移行支援とは?対象・費用・利用までの流れをやさしく解説
よくある質問
国の事例集にも、あいまいな指示を避けて具体的に伝えるようにしている会社の例が載っています。
「指示は困らないけれど、暗黙のルールだけ苦手」という方もいます。どの場面で困るかの整理は、支援スタッフと一緒にもできます。
ナビゲーションブックは、伝えて働く(オープン)ときの道具です。伝えるかどうかの考え方はオープン就労とクローズ就労のちがい|自分に合う選び方(横浜市都筑区)にまとめています。
「聞く相手を1人決めてほしい」というお願いは、配慮として相談できる場合があります。事例集には、当日はだれの指示を受けるかを紙で伝えている会社の例もあります。
手元にある物や、前回の成果物を指しながら確かめると、言葉だけよりも早くそろいます。
いつでもご相談お待ちしています
聞き返す型は、ひとつ覚えれば、どの職場でも使えます。
ナビゲーションブックは、白紙の段階からの相談でかまいません。
聞き返しの練習はどんな形でするのか、ナビゲーションブックは何から書くのか?
など、気になることは見学のときに一緒に確かめられます。ブルーライン・グリーンライン「センター南駅」すぐですので、気軽にお越しください。
※今回の内容は、2026年8月時点の制度にもとづいています。
参考: 厚生労働省「合理的配慮指針」(平成27年厚生労働省告示第117号)
参考: JEED 障害者職業総合センター「ナビゲーションブックの作成と活用」

福祉の現場で7年、働くことを目指す方の支援に携わってきました。ステップキャリアではサービス管理責任者として、お一人ずつの体調やペースをうかがいながら個別支援計画をつくり、次の一歩を一緒に決めていくことがやりがいです。神奈川県・横須賀出身です。
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